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◇正社員求人0.49倍
新潟市内に住む女性(48)は、6月下旬に生活保護の受給が決まった直後、福祉事務所で担当のケースワーカーに言われた言葉に戸惑った。「ハローワークに通ったり就職活動をしないと、3カ月で支給を打ち切りますよ」。そんなことあるだろうかと、いぶかしんだが、法律の知識もなく言い返せなかった。
女性は首都圏で生まれた。中学卒業以来、工場地帯に住み、製造ラインの仕事をしてきた。約5年前、夫の親類がいる新潟に夫婦で移ってきた。2人で警備員の仕事をしているが、日給は5000〜6000円。若者に優先的に仕事が回るのか、警備会社から仕事が入るのは毎日とは限らない。3月ごろから減り始め、週に一回も仕事がないこともあり、いよいよ生活が立ち行かなくなった。
運転免許がない女性はハローワークに行くだけでも一苦労だ。近所の友人や夫の親類に運転を頼んでいるが、何度もお願いするのも心苦しい。運転ができないことや、年齢条件などで仕事はなかなか見つからない。女性は「仕事ができるのなら、なんだってやるつもりはある」と話す。
新潟に身寄りのない女性は、20歳近く年の離れた夫に何かあれば、住む場所すら失うかもしれない不安がある。アパートの保証人になっている夫の親類は、女性が1人になったら保証人にはならないと話している。時折、自分の将来を想像し、「ホームレスになるか、死ぬしかないんじゃないか」と怖くなる。
一向に好転の兆しを見せない雇用状況。県内の有効求人倍率は6月で0・65倍。正社員の職となると、0・49倍まで下がる。県内で労働問題に取り組む「にいがた青年ユニオン」(新潟市中央区)の山崎武央執行委員長は「現状では、30代以上になると、正社員で安定した職を得るのは非常に困難になる」と指摘する。またパートなど非正規で仕事を得ても、勤務時間が短いなど、生活が成り立つだけの収入が得られないケースも多いという。
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生活保護制度などを研究している新潟県立大の小沢薫講師は、新潟市の女性へのケースワーカーの対応を「法的な根拠がない」と批判する。
生活保護法は、生活に困窮する人を保護するのにあたり「利用し得る資産、能力を最低限度の生活の維持のために活用すること」を求める。つまり稼働能力(働く能力)の活用を要件にしているが、「仕事がないのは、稼働能力を活用する場がないということ。本人の責任ではない」と指摘。生活保護法の趣旨に「最低限度の生活の保障」とともに「自立の助長」があるとし「なかなか就職できない背景があるとすれば、それを取り除き自立を助けるのがケースワーカーの仕事」と話す。
また、若年層が福祉事務所で生活保護の受給申請をした際、「若いのだから働いてください」などと言われ、申請を拒否されたケースもあるという。小沢講師は「生活保護の原則は無差別平等。生活に困窮していれば年齢などは関係ない」と話す。【小林多美子】
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【新潟】48歳女性「就職活動をしなければ、3カ月で生活保護を打ち切ると言われた。運転免許が無いのでハロワに行くのも一苦労だ」の続きを読む