引用ここから〜〜〜〜〜〜〜〜
子どものころの遊びで、習得せずに投げ出したものは数多いが、ブーメランは最たるものだった。何度投げてもむなしく失速する。スルスルと美しい曲線を描いて、手元に戻ってくることはついぞなかった▼大人になっても「日本を取り戻す!」と拳を上げるのが好きな人だから、少年時代には、さぞかしブーメラン遊びも得意だったのではなかろうか。ただし、周囲の人たちの安全に十分に気を配っていたか、はなはだ疑問だが▼安倍晋三首相はきのう、靖国神社を参拝した。積年の「痛恨」を晴らし、支持者に対する約束を果たした、との思いなのだろう。が、A級戦犯を合祀(ごうし)している靖国への参拝には、中韓ばかりではなく、国内にも反対する人たちはたくさんいる▼「ご英霊に政権1年の歩みをご報告した」そうだ。「知る権利」を奪う法律を強引につくり、武器輸出三原則を骨抜きにし、集団的自衛権行使や原発再稼働を狙い…。「孫やひ孫のためによくやってくれている」と感謝の言葉が返ってきたのか。「過ちを繰り返すのはやめてくれ」との叫びは聞こえなかったか▼オーストラリア先住民の狩猟具として知られるブーメランの原型は、足の速い獲物に投げつける「殺りく棒」と呼ばれるこん棒だったそう▼気まぐれな経済の上昇気流がぱたりとやみ、暮らしが崩壊に向かったら―。「復古遊戯」は、危うすぎる。
〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで
【北海道新聞】 「『日本を取り戻す!』と拳を上げる安倍首相…少年時代には、さぞかしブーメラン遊びも得意だったのではなかろうか」の続きを読む