2012年08月19日

【中日新聞社説】「竹島」国際提訴 対立拡大避ける忍耐を★3

■「竹島」国際提訴 対立拡大避ける忍耐を(中日新聞)

引用ここから〜〜〜〜〜〜〜〜
政府は島根県・竹島(韓国名・独島)の領有権問題で、近く国際司法裁判所に提訴する。韓国が拒否して裁判は成立しない見通しだが、韓国による実効支配は不法だと訴えるのが狙いだ。

 政府が竹島領有権を国際提訴するのは一九六五年の国交正常化以来初めて。李明博大統領が竹島を訪問したことへの対抗措置だ。

 日本は一九〇五年に竹島を島根県に編入した。第二次大戦終結を確認した五二年発効のサンフランシスコ講和条約では、日本が放棄すべき地域が明記されたが、竹島は含まれなかった。これらが日本が領有を主張する根拠である。

 これに対し、韓国は島根県への編入は日本の植民地支配の過程で行われたから無効だと反発する。警察の警備隊を常駐させ、埠頭(ふとう)やヘリポートなどを造って実効支配を強めている。強硬姿勢の背景には、黄海の排他的経済水域(EEZ)での漁船操業をめぐって中国と争うなど、海洋の権益では譲歩できないという事情もある。

 裁判が不成立になったとしても、日本側は自国領土だと裏付ける資料の収集と国際法の分析に力を入れる必要がある。「韓国の外交権を奪ったのと同じ時期に、竹島を領土にした」という韓国の主張に対抗するには、古地図や古文書の分析も含めて、なお相当な作業を強いられよう。

 日韓はこの十年余、「未来志向の関係」を掲げて交流と協力を拡大してきたが、双方にとって非常に難しい時代も予想される。

 韓国は来月にも竹島で防衛訓練をする予定で、今回海兵隊が上陸訓練をするとの情報がある。日本が「仮想敵国」だとの印象を世界に与えかねない。軍は参加しないよう自制を求めたい。

 次の争点は韓国人の元従軍慰安婦問題になるとみられる。李大統領は独立記念日の演説で、戦時の女性人権問題だと指摘し、「両国の次元を超え、人類の普遍的価値に反する行為」だと強調した。国連など国際会議で、主張をより強めるのではないか。

 竹島と戦後補償の問題は年末の大統領選でも争点になろう。候補者が競って強硬姿勢を示せば、国民に反日感情が広がり、日本側もまた反発するという「負の連鎖」になりかねない。これでは未来志向の関係は崩壊してしまう。

 互いの国益を主張しながらも、対立を拡大させず、関係をどう再構築するか。外交の忍耐強さと知恵が今まで以上に求められる。
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2012年08月12日

【社説】大統領の竹島訪問、慰安婦問題を解決しない日本に苛立ちがあったのではないか(沖縄タイムス)

■[李大統領竹島訪問]歴史問題に不満表明か(沖縄タイムス)

引用ここから〜〜〜〜〜〜〜〜
 韓国の李明博(イミョンバク)大統領が、竹島(韓国名・独島(トクト))を訪問した。ヘリで上陸し、約1時間滞在したという。

 竹島は日韓双方が領有権を主張している島である。現在は韓国が宿舎や監視所を設置して警備隊員を常駐させ、島を実効支配している。

 日韓関係への配慮から、韓国はこれまで、大統領の竹島訪問を慎重に避けてきた。知日派として知られる李大統領が、日韓関係を台無しにすることを承知で、あえて竹島上陸を強行したのはなぜか。竹島上陸は韓国の立場からみても得策とはいえない。

 日本政府は、その日のうちに武藤正敏駐韓国大使を帰国させた。事実上の「召還」措置である。国際司法裁判所(オランダ・ハーグ)への提訴も検討中だ。要するに李大統領は、自らの短慮によって、竹島が領有権問題をめぐる紛争地であることを国際社会にアナウンスしたことになる。

 李大統領は来年2月に任期切れを迎える。実兄や側近が不正資金事件で逮捕され、政権与党の中でも急速に求心力を失いつつあるといわれている。日本国内では「威信回復を狙った上陸」との見方が有力だ。

 しかし、それだけとは思えない。李大統領は竹島訪問に先立って、同島から約90キロ離れた鬱陸島(ウルルンド)を訪問し、住民らと昼食を共にした際、「従軍慰安婦問題を提起したのに、日本はまだ心からの謝罪表明をしていない。残念だ」と日本の対応を批判したという。

 李大統領の竹島訪問には、慰安婦問題の解決を迫る意思表示という側面もあったのではないか。

 韓国の憲法裁判所は2011年8月、慰安婦問題で韓国政府が日本側と個人請求権をめぐる交渉をしないのは基本権の侵害にあたる、と違憲の判断を示した。この判決を契機に韓国では、慰安婦問題が再燃し、日本大使館前で抗議行動が続いている。

 11年12月、京都で開かれた日韓首脳会談で、李大統領は初めて慰安婦問題を取り上げ、「優先的解決」を求めた。

 1965年の国交正常化の際、請求権協定を交わしており、法的には解決済み、というのが政府の公式見解である。李大統領がいら立ちを募らせていたのは間違いない。

 竹島が閣議決定によって島根県に編入されたのは1905年。この年に日本政府はソウルに統監府を置き、いわゆる統監政治を始める。日本政府による竹島編入と、日本による朝鮮半島植民地化の動きが、韓国の人々にとっては、重なって見えるのだという。

 韓国にとって竹島問題が「歴史問題」としての性格を帯びるのは、このような歴史的背景があるからだ。竹島問題と慰安婦問題は、「歴史問題」というキーワードを通してつながっている

 8月15日は、韓国にとって、日本の植民地支配からの解放を祝う「光復節」にあたる。時あたかも、日本の国内政治は、消費増税政局に没頭し外の動きが見えない状態。政府は足元を見られたのである。対抗措置だけでなく、日本外交の敗北を真摯(しんし)に反省する姿勢が求められる。 
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2012年08月07日

【北海道新聞】 「在留管理制度…不法滞在は好ましくない。だからといって国外退去が適切だろうか。何よりも多文化共生の視点が重要だ」

■在留管理制度 共生の視点欠かせない(8月6日)(北海道新聞)

引用ここから〜〜〜〜〜〜〜〜
3カ月を超え日本に正規滞在できる外国人だけを対象とする新たな在留管理制度が始まった。60年続き、不法滞在者も対象の外国人登録制度は廃止された。

 在日韓国・朝鮮人ら特別永住者は別の新制度に移行した。

 正規滞在者は特別永住者と同様、住民基本台帳に登録される。滞在期間は従来の最長3年から5年に延びた。出国から1年以内の再入国の許可手続きも原則不要となった。

 部分的には利便性は向上した。

 だが、全体的には管理を強める内容となっている。国には慎重な運用と柔軟な対応を求めたい。

 従来、外国人登録証の交付など登録事務は市町村が担ってきた。

 制度改正で外国人の在留管理は、出入国管理を受け持つ法務省に一元化された。個々の外国人の滞在状況をより正確に把握する目的からだ。

 法務省は正規滞在者に在留カードを交付する。以前の外国人登録証と同じで不携帯は処罰対象だ。

 転居した場合に「正当な理由」なく90日以内に届け出ないと在留資格が取り消される。日本人の配偶者として在留資格を得ている人が6カ月以上、結婚しているとは言えない状態が続いた場合も同様だ。

 杓子(しゃくし)定規な適用は慎むべきだ。

 新制度開始に際し法務省は、資格取り消しを免れる「正当な理由」の具体例を公表した。配偶者の暴力からの避難―などだ。外国人の不安解消のため、こうした対応は積極的に進めてほしい。

 これまで市町村は人道的見地から外国人登録制度を活用し、不法滞在者にも母子手帳の交付、子供の就学などのサービスを提供してきた。

 新制度でこれらの提供が難しくなるとの懸念が出ている。

 市町村が正規滞在者しか把握できなくなったためだ。札幌市は「従来通り対応したいが、就学案内などは出しようがない」と困惑する。

 この問題で住民基本台帳法付則は、政府が「必要な措置」を講じる、と定めている。政府は市町村の意見を聞き、対応を急ぐべきだ。

 昨年末の外国人登録者は道内約2万人を含む全国約208万人、不法滞在は全国約7万人だ。新制度は不法滞在者の潜行を招き、治安に悪影響を及ぼすとの指摘もある。

 不法滞在は好ましくない。だからといって在留期間の超過のみを理由とする国外退去が適切だろうか。わが国には高齢化を背景に外国人労働力に依存している現実がある。何よりも多文化共生の視点が重要だ。

 法務省は、在留特別許可制度の弾力的運用などで不法滞在者を減らすことこそ積極的に考えるべきだ。力ずくでは何も変わらない。
〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで



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2012年08月06日

【社会】政権交代から三年目の夏を迎えました。あれから日本はリセットできたでしょうか…それどころか…

■週のはじめに考える リセットできない日本(東京新聞)

引用ここから〜〜〜〜〜〜〜〜
 政権交代から三年目の夏を迎えました。あれから日本はリセットできたでしょうか。原発再稼働や消費税問題をみると、何も変わっていないどころか…。

 二〇〇九年八月の総選挙で長く続いた自民党政権から民主党政権に代わったとき、人々の間には「これで日本の政治が変わる」という期待感が盛り上がりました。

 民主党が掲げた「脱官僚・政治主導」と「地域主権」の旗は、たしかに新鮮に輝いていた。

◆脱官僚に失敗した政権
 ところが三年たって、期待感は見事なまでに裏切られたというほかありません。たとえば政治主導。国家戦略室を設けて担当大臣が官邸直結で国の大方針を詰めていくはずでした。

 そのためには、まず官僚を動かす基盤となる根拠法を定める必要がありますが、いまに至るも法律がありません。国家戦略室は「内閣総理大臣決定」という紙切れ一枚が設置根拠なのです。

 その結果、いまでも担当大臣がいて議論はしていますが、官僚からみれば「おしゃべり会議」同然です。役所の都合がいいように結論を誘導して閣議決定してしまえば、実際に予算を要求して政策を動かすのは相変わらず各省に委ねられています。

 そもそも役所の方針と異なる政策が出てきません。最近の日本再生戦略が典型です。全部で百十九ページもありますが、具体的に記されたのは天下りの受け皿になる官民ファンドの強化や新設ばかり。残りはほぼ官僚の作文です。

 地域主権はどうかといえば、国の出先機関改革一つとっても、目覚ましい進展がありません。たとえば雇用状況がこれだけ深刻なのに、国のハローワークを地方の実情に合わせて運用する特区は東西でわずか二カ所、埼玉県と佐賀県で始まっただけです。



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2012年08月05日

【信濃毎日】「オスプレイ配備」いったん白紙に戻せ…オスプレイ配備に象徴される米国追随の状態が続けば、国民の安全や国益を損なう

■日米防衛会談 オスプレイありきでは(信濃毎日新聞)

信濃毎日新聞社データベース部様より削除依頼がありましたので引用部分の削除を行いました。
引用ここから〜〜〜〜〜〜〜〜
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2012年07月25日

【毎日新聞】 「最近、福岡の街でも中国語が耳に入る。大陸に近い国際都市・福岡の進化は次のステージに入ったかのようだ」

■憂楽帳:很好(ヘンハオ)(毎日jp)

引用ここから〜〜〜〜〜〜〜〜
 博多・中洲の盛り場の外れで偶然入ったラーメン屋さん。「つけ麺」にした。「塩、みそ、しょうゆとありますが」。「塩を」。「塩が人気あります」。店を取り仕切る若い男性は、調子よく言うと、カウンターの隅に座った女性客と話しはじめた。二人は互いに中国語だった。

 最近、福岡の街でも中国語が耳に入る。クルーズ船の寄港も増え、天神地区での買い物に駆け回る中国人観光客のバイタリティーあふれる姿も目立つ。福岡市によると、中国籍の外国人登録者数は5月末で1万2384人で、10年前の1・5倍以上の伸び。大陸に近い国際都市・福岡の進化は次のステージに入ったかのようだ。

 さて、中国語が飛び交うラーメン店で、私も話したくなった。約30年前、第2外国語で習ったはずだが、頭に浮かぶのは「人民日報」とか、使えない単語ばかり。やっと「很好(とてもよい)」が浮かび、食べ終わって席を立つ際、彼に献上した。「よく知ってますね」。調子よく日本語で返され、話は終わった。わずか1往復。かえって自分の国際化の貧しさを感じ、寂しい気分で店を出た。【下薗和仁】
〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで



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2012年07月24日

【毎日新聞】稲田佳代「生活保護費でパチンコは不正受給ではない」「不正受給を取り締まっても受給者は減らない」

■生きられる社会へ:生活保護の今 「不正受給」取り締まっても 保護必要な人は減らない(毎日jp)

引用ここから〜〜〜〜〜〜〜〜
人気お笑い芸人の母親の生活保護受給を批判する報道を機に「不正受給の取り締まりを強化すべきだ」という声が高まっている。一方、不正をなくそうとするあまり、行政がさまざまな理由をつけて保護を受けさせない「水際作戦」を行った結果、保護を受けられなかった人が餓死する事件も相次いでいる。そもそも「不正受給」とは何なのか。そして「本当に必要な人にだけ給付を」と、簡単に言い切ることはできるのか。【稲田佳代】

 ◇貧困から抜け出せる仕組みを
 収入の多い子を持つ親が生活保護を受けている、働けるのに保護を受けている、保護費でパチンコをしている−−。「不正受給」について、こうしたイメージを持つ人も少なくないだろう。だが実際は、これらのどのケースも「不正」には当たらない。

 収入の多い家族がいても、本人が困窮していれば、保護を受けられる。家族の扶養は、生活保護の要件ではない。また、生活保護は憲法25条の「生存権」に基づく制度で「無差別平等の原則」があるため、働ける年齢の人でも、困窮していれば保護を受けられる。さらに、保護費は使い道を限定しておらず、やりくりの範囲でパチンコをしても「不正」とは言えない。

 では、どういうケースが「不正」なのか。

 生活保護法78条は、うそをつくなど不正な手段で保護を受けた人に対し、自治体がその額を徴収できると定めている。10年度は約37億円が返還された。
〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで



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2012年07月06日

【原発事故】東電会見、フリーライター出入り禁止に

■東電会見「出入り禁止」 音声生中継のフリーライター(朝日新聞)

引用ここから〜〜〜〜〜〜〜〜
 東京電力が本店で毎日開いている記者会見について、フリーライターの木野龍逸(りゅういち)さん(46)を出入り禁止にしていたことが5日、分かった。6月27日の株主総会で、東電が音声や映像を流さないよう報道側に求めたのに対し、木野さんがインターネットを通じて音声の生中継を行ったことが「ルール違反になる」と判断したという。

 「検証 福島原発事故・記者会見――東電・政府は何を隠したのか」の著書がある木野さんは、福島で原発事故が起きた昨年3月以降、東電の記者会見にほぼ連日、出席してきた。株主総会では、会場から総会の音声をスマートフォンを使って配信したという。

 東電広報部は朝日新聞の取材に、「株主総会は会社と株主が議論する場。プライバシーに配慮し、録音や録画を、そのまま流さないようお願いしていた。ルールに違反したため、記者会見にも参加しないよう求めた」と説明している。

 木野さんは6月27日夕の会見以降、出席が認められていないといい、取材に対し、「原発事故で国民に損害を与え、税金投入で事実上の国有化が進む中、株主総会の映像や音声を公開できないこと自体に問題がある」と話した。(西本秀)
〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで



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2012年07月02日

【毎日新聞】 「人事担当者様、発達障害の学生たちをよろしく」

■余録:不思議に思われるにちがいない。超難関大学に合格…(毎日jp)

引用ここから〜〜〜〜〜〜〜〜
 不思議に思われるにちがいない。超難関大学に合格し在学中の成績も優秀なのに就職試験に落ち続ける。就活に苦戦している若者は珍しくないが、発達障害のある学生にとって就活はとりわけ厳しい▲「今日はいい天気だね」。あまり意味のない会話が苦手だ。「あなたの長所は?」。それに答えるとどのようなメリットがあるのかを聞きたくなる。以心伝心、言外の意味、周囲の空気を読む、ということがとても苦手な障害なのである▲けっして少数ではない。文部科学省の調査では学校で何らかの発達障害が疑われる児童は全体の6・3%に上った。毎年大学を卒業する人のうち発達障害のある人は数千人規模でいるとの指摘もある。親の育て方や環境のせいではない。先天的な要因で起きるが、外見ではわかりにくいせいもあって誤解される▲知的な遅れのある人は多いが、びっくりするほど知的能力の高い人もいる。最近、歯科医師や公認会計士の資格を持つ人が「障害者枠」で企業に採用されたと聞いた。「筆記試験は点数が取れても面接で落ち続けたらしいのです」。人事担当者は大いに驚いていた▲高性能の工業製品を大量生産して成長する分野に貢献できる人材が求められると、彼らは苦しい。しかし、均質で間違いの少ない人材よりも、独創性や深い洞察力・執着心が評価される時代になるとどうだろう▲エジソン、アインシュタインなどの天才はいずれも発達障害があったとされる。彼らがいなければ人類の進歩はなかったはずだ。イノベーションは横並び思考からは生まれない。人事担当者様、発達障害の学生たちをよろしく。
〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで



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2012年06月30日

【東京新聞】生レバー禁止に違和感 禁止の波が「卵かけご飯」に及ばないとも限らない

■レバ刺し禁止 食の文化も忘れずに(東京新聞)

引用ここから〜〜〜〜〜〜〜〜
食品衛生法の基準が変わり、明日から牛の生レバーが食べられない。安全は最優先だ。だが、生食に代表される食文化も守りたい。おいしさをどのように伝えていくか。これを機によく考えたい。

 二年以下の懲役、または二百万円以下の罰金。レバ刺しを提供した飲食店は、このような重い罪に問われることになる。

 事の発端は昨年四月、北陸の焼き肉チェーンで、ユッケなどを食べた五人が死亡した食中毒事件である。この時、生食用肉提供の基準はあっても強制力がなく、規制が形骸化していたことが問題視され、批判を受けた厚生労働省は、厳罰化へと一気に舵(かじ)を切る。ユッケの場合、表面は加熱するよう義務付けた。

 一連の調査の中で、牛の肝から腸管出血性大腸菌O157が見つかった。胆管から肝臓内部に入り込んでおり、加熱では処理できない。このため厚労省は、ユッケより重い提供禁止の断を下した。

 食べ物としての生肝(なまぎも)は万葉集にも登場する。滋養が高く、権力層に好まれた。戦前にも、モダンな食材として、洋食店のメニューに載った。最近では、美容にいいと「ホルモンヌ」と呼ばれる若い女性の間にも広まった。

 O157の危険を否定するわけでは無論ない。しかし、食べ物は文化でもある。長く、多くの人に親しまれてきた食材が、一片の通知で簡単に葬り去られてしまうことには違和感がある。

 昨年一年間に発生した食中毒のうち、牛レバーの占める割合は約1%。生鮮魚介類によるものの二十分の一以下だ。生卵のサルモネラ中毒よりも下回る。

 生食は、日本食文化の華だ。禁止の波が「卵かけご飯」に及ばないとも限らない。米国では生卵の提供が原則禁止されている。すき焼きに生卵は添えられない。折しもカリフォルニア州では一日から、世界三大珍味の一つ、フォアグラが出せなくなる。飼育法が残虐だからという。

 口に入れるものである以上、食品に危険はつきまとう。私たち消費者は、食べ物に対して受け身になりすぎてはいないだろうか。どれほど知っているのだろうか。危険すなわち禁止では、かえって正しい食習慣や選択眼が身に付かない恐れもある。消費者も食文化の担い手なのだ。

 国などが食に関する正しい情報を提供し、業者、消費者はそれを正しく学んで、実行する。禁止は最後の手段である。
〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで



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